ああ、青春のそば

zi-zi2008-07-03

 高校生の頃、よく行った駅そばにあったそば屋(しゃれではありませんよ)は、最初にそばかうどんかを選択して、そのあとに好きなてんぷらを注文します。「え〜っと、そばでげそ揚げ」などが正当な注文の仕方ですが、一言「そば!」と注文されると、店のご主人もこの雰囲気に慣れているお客さんたちも、なぜかガクッとなってしまいます。

 この店ならではの流れといいますか、仕来りみたいなものがありまして、皆さんかたくなに守っているわけです。最初に行ったときは連れて行ってくれた友達が一から教えてくれて、「いいか、まずそばって言え。それから好きなてんぷらを注文するんだ」「あ、そう、間違っても向こうが来るまで勝手に注文するなよ」などと、行く前からなにかものすごい特別な空間に行くような気がして、とても緊張しました。行ってみるとただのたちそば屋でしたが・・・


 今でこそこのようなスタイルのうどん屋さんを見かけますが、実は昔からあったのですね。とはいっても、家族で行ったり、女性が一人でそばをすする、なんてとてもできない雰囲気の店です。まあ、言ってみればドカタのおやじや、パチンコの昼飯にといった感じで、店内で女性を見かけることはありませんでした。しかし、安さゆえに高校生(特に運動部の連中)はよく行ってましたね。


 あれから、約20年。


 このご時勢当然だとは思いますが、当時の「そばげそ揚げ」の値段では「掛そば」しか食べられません。新聞を開けば値上げ、値上げ・・・・いつも混みあっていた店内も何となくひっそりしている。青春時代をこのそばやとともに歩んだといっても過言ではないほど、通いつめた店ですが、なにかこう、寂しくて仕方ありませんでした。